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シリコンバレー生まれの企業が広島県進出を決めた2つの理由

アメリカの大手IT企業Veeva(ヴィーバ)の広島県進出が決定しました。
2021年春、広島市にオフィスを開設する予定です。

広島県庁で企業誘致を担当する身としてはですね、とてもとてもとてもうれしいお話です。

語学力を生かして外資系で働いてみたい学生さんもたくさんいるでしょう。広島で活躍の場を求める一流エンジニアさんもいるでしょう。

だけど正直、なんで広島県に進出を決めたの? もはやオフィスって不要になったんじゃないの? という素ぼくな疑問が沸々と湧いてくるわけです。

地方拠点について悩める経営者さんや、広島移住を検討するワーカーさんの参考になればと思ってご紹介します。


知れば知るほど謎。「新しい会社のあり方」リードする企業の地方進出

Veevaは、2020年現在、 世界165か国の製薬会社に向けて、業務サポートシステムを提供するシリコンバレー生まれのソフトウエア会社です。
https://www.veeva.com/jp/


日本法人は、以前から東京と大阪にオフィスがありましたが、コロナ禍の影響を受け、広島県へオフィスの一部を移転することを決定しました。

シリコンバレー発! IT系!! グローバル!!!ときたら、オフィス不要!!って、なりそうですよね。

ステレオタイプな発想ですが、「えっ、これもリモートワークで済ませちゃうんですか??」と思えることだって、ぐいぐい推進するタイプの会社に思えてなりません。

Veevaの創業者兼CEOは、オンライン会議でおなじみのZoomの社外取締役でもあります。

さらに、Veevaは10月に、利益だけを追求するのではないパブリック・ベネフィット・コーポレーション、略してPBCになる方針を発表して、ブルームバーグから取材を受けていました。

アメリカの大手企業では初となるPBCへの方針表明だったとか。
「新しい会社のあり方」をリードするような、そんな企業なんですね。

オフィス不要論の先頭に立ちそう。知れば知るほど謎です。

オフィス「必要論」は、不要論と両輪で考えられていた

Veevaの担当者から聞いたオフィス必要論に至るポイントは次の通りです。

(1)オフィスが不要な業務と必要な業務を整理
 ・オフィス不要: 
  営業や導入支援といった「対面型」業務
 ・オフィス必要: 
  ソフトウエア開発やカスタマーサポート等「非対面型」業務
(2)各部門にある「非対面型」業務をオフィスに集約
(3)オフィスは大都市にある必要はない

シリコンバレー発の企業ですから、そこはイメージ通り、もともとリモートワークがスタンダードだったようです。
コロナ禍で、あらためて業務を整理し、顧客に直接会う機会の少ない「非対面型」業務を各部門から抽出し、大都市を避けた場所に新しいオフィスを設置、集約することに方針決定したとのこと。

冷静に考えれば、製薬会社が顧客なのでセキュリティは厳格そうですね。情報管理のためにもオフィスは必要なのかもしれません。

とはいえ、大都市ではない場所は日本にたくさんあるわけです。
なぜ広島県が選ばれたのでしょう?

広島県の魅力は「人材」と「暮らし」

2020年11月12日に、米国本社アジア担当プレジデントのダグ・エッツェル氏と湯﨑知事をつないで、太平洋を跨いだオンライン表敬を行いました。
ここで広島県を選んだ理由が、「人材」と「暮らし」の2つだということが明かされました。

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エッツェル氏の発言から印象に残ったものをいくつか紹介します。

ソフトウェアを作っているのは人なんです。

ソフトウエアって機械的なイメージですが、確かにそこには人がいて、悩みながらキーボードをパタパタ打ち込んで作り出しているんですよね。
こういう発言が企業の経営陣から出ると、エンジニアはじーんとするのではないでしょうか。あくまで文系脳による想像ですが。


広島県の人材と教育に期待しています。


広島県は、歴史的に人材育成に力をいれてきた「教育県」でして、大勢の優秀な人材を輩出してきました。
公立の教育現場でも先端的な取り組みがはじまっています。全寮制・国際バカロレア認定の中高一貫校である叡智学園に続き、2021年4月には新たな教育の場として叡啓(えいけい)大学がオープンします。

ちなみに、製薬会社を顧客にするVeevaにとって、医学部と工学部がある広島大学の存在が特に魅力的だそうです。
広島大学と言えば、日経HRの「人事が見る大学イメージランキング2020」でトップ10入り、「行動力」部門では全国2位に輝いています。最近では、アリゾナ州立大学のグローバル校を設置することを発表しニュースになりました。

自然が近くにあり、スポーツ観戦やショッピングも楽しめる、そんな暮らしが魅力で広島県を選びました。
お客様は、私たちの新しいアイデアを評価し、選んでくださっています。イノベーションを起こすためにも、社員が暮らす環境は大事なのです。

広島県を選んだ2つ目の理由は「暮らし」です。
便利な都市と穏やかな自然が両方楽しめる「よくばりなライフスタイル」を実現できるコンパクトなエリアです。市街中心部から30~60分も移動すれば自然が豊かなエリアに到着します。しかもバラエティ豊かなのです。

参考になりますか、無計画な筆者は、休日の行動を当日決めるのが常です。
朝ごはんを食べながら、海辺へミカン狩り&釣りに行くか、山へ牧場ジェラート&BBQに行くか、はたまたバスケットボールのプロチーム・ドラゴンフライズの応援に行くか、家族とのんびり相談しても十分間に合います。

ポートランドにお住まいのエッツェル氏からは、広島市について「路面電車と自然が身近にあるところが似ている」という発言も飛び出しました。本当かどうか、確かめに行きたい気持ちでいっぱいです。

対談を通して、Veevaが利益だけでなく、人材や働く環境を重視する企業だという実感が得られ、さらに期待がふくらみました。
現在、オープニングメンバーを募集中なので、広島県へ移住&転職を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
そして、ぜひイノベーションを起こしてください!

この記事は、 広島県 商工労働局 県内投資促進課 が書きました。

広島県への移転・進出を検討する企業向けの
企業立地促進助成制度<新型コロナウイルス感染症対策特別枠>について
詳しくはこちら
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/office-relocation/